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2013年9月17日

エフゲニー・キーシン@バルトークホール

キーシンのブダペスト公演を聴いてきました。
会場のMupa(芸術宮殿)

バルトークホール。今回も席は前の方…もう少し後ろがよかったなあ。


Jevgenyij Kiszin zongoraestje
A ZONGORA - MVM KONCERTEK 6.


2013. szeptember 16. 19:30
Bartók Béla Nemzeti Hangversenyterem

Schubert: D-dúr szonáta, D. 850
Szkrjabin: II. (gisz-moll) szonáta ("Szonáta-fantázia"), op. 19
Szkrjabin: Etűdök, op. 8 (Nos. 2, 4, 5, 8, 9, 11, 12)

キーシンのシューベルトは私にとって特別な意味を持ちます。
そもそも10年前にウィーンでたまたま行ったリサイタルで聴いたD.960が素晴らしく、それまで持っていた「ピアニスト養成ギブスを着せられた指だけがよく動く坊や」(熱心なファンの方々、暴言をお許し下さい)という偏見が一気に吹き飛んだのでした。
以来、毎年ウィーンの演奏会を聴きに行くようになりました。

3月にウィーンで聴いたシューベルトの即興曲がもう言葉では表せない美しさで、今回は一体どんなシューベルトを聴かせてくれるのかと楽しみにしていました。

ところが、第2楽章(下の楽譜の矢印の辺りから)をもっと優しく歌ってくれると思っていたのに、なんだかガチャガチャ音が鳴って…


たぶん座席がよくなかったのだと思いますが、一体この会場のどの席がピアノを聴くのに相応しい場所なのかまだよくわかりません。
というか、このホールでピアノリサイタルは無理だと思う…。
ああ、リスト音楽院のホールで聴きたかったな~。

後半のスクリャービンは圧巻でした!
前半のシューベルトでは天才が全身全霊を込めて作品を作り上げる過程を見せてもらいましたが、スクリャービンではキーシンの中から音楽が飛び出すというか、まさに爆演という言葉がぴったり。
ソナタもエチュードも、ちゃんと聴いていたはずなのに、キーシンが弾いている間ずっと体は会場に座っているのに魂だけをどこか別の世界に連れて行かれたような感覚で、今でもまだボーっとしています。
 シューベルトの後は儀礼的な笑顔だったキーシンですが、スクリャービンのソナタを弾き終えた時は思いっきりどや顔でした。

エチュードが終わり、またまたどや顔で客席を見て、はじけるような笑顔になったキーシン。
どうやら会心の出来だったようです。
何度も拍手で舞台に呼び戻され、ピアノに向かいました。
私は「アンコールでスクリャービンのエチュードop.42-5を弾いてほしい」と期待していたのですが、意外なことに聴こえてきたのはバッハ。
ケンプ編曲のシチリアーノでした。

先程まで熱狂の渦に包まれ、沸点に達した会場を落ち着かせるにはいい選曲だったと思います。

続いてのアンコールは、待ってました! スクリャービンのop.42-5!!
いやぁ~、すごい迫力で、音楽の神様が降臨してましたよ、キーちゃんイタコ状態。
会場はスタンディングオヴェイション!

その後も何度か拍手で呼び出されたキーシンがまたピアノに向かって・・・

何を弾いたと思います?

ショパンの英雄ポロネーズですよ!
これだけのプログラムの後に英雄弾くん? あんた何者? と笑うしかない状態でした。

このプログラムは来春日本でも演奏するようですので、聴きに行かれる方はまた感想をお聞かせ下さると嬉しいです。

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さて、ここからミーハーネタです。

スクリャービンでは魂を抜かれてしまって気が付かなかったけど、前半のシューベルトではキーシンやたらと唸っていて、「ウッ!」とか「フンッ!」とか「ハッ!」かよく聴こえました。
第2楽章でも「フンッ!」と鼻息連発で(特に私が「優しく歌って~」と思っていた所で)、キー様、ここはそんなに気合入れるとこなんですか?

最近髪の毛が爆発しなくなったキーちゃん。
この日も髪はコンパクトにまとまっていました。
なのに何度も何度も右手で髪を押さえるんです。それも演奏中に!
「キーちゃん、大丈夫やで、髪の毛爆発してないで!」と駆け寄って教えてあげたくなるほどでした。(笑)
が、しかし! 私気付いたんです。

もしかしてキーちゃんは髪を押さえているんじゃなくて、手の汗を髪の毛で拭いているのかもしれない!

だって右手の掌を髪にこすりつけるようにするんです。
ママ、キーちゃんにハンカチの存在を教えてあげて下さい!

ママといえば、今回も(春のウィーン同様)ママとセンセをお見かけしませんでした。
どうやらママ離れしたみたいですね。ママの代わりの人が見つかったのかな?

2 件のコメント:

  1. こんにちは、さっちんです。

    バラードさんの表現力っ!すごっ!
    だって文章読んでいるだけで会場の雰囲気が味わえそうで・・・。

    養成ギブスやらイタコやら(笑)
    凄いんだろうね~生の演奏!

    癒されました♪

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  2. さっちんさん
    キーシンは今回と同じプログラムを来春日本でも弾くので、是非是非聴いて下さい~♪
    神童時代のキーシン君って動きがギクシャクしててピアニスト養成ギブスしてるみたいに見えなかった?(笑)

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