行ってきました~~~♪
Donnerstag, 7. März 2013 19:30
Programm:
Joseph Haydn
Sonate für Klavier Es - Dur, Hob. XVI:49
Ludwig van Beethoven
Sonate für Klavier c - Moll, op. 111
-------- Pause ----------
Franz Schubert
Impromptu für Klavier f - Moll, D 935/1
Impromptu für Klavier B - Dur, D 935/3
Impromptu für Klavier Ges - Dur, D 899/3
Impromptu für Klavier As - Dur, D 899/4
Franz Liszt
Ungarische Rhapsodie Nr. 12 cis - Moll
("Mazeppa")
以前書きましたが、私がキーシンを聴くようになったのは最近のことです。
10年前、ウィーンに用事があって、たまたまその日キーシンの演奏会があったので「ついでにキーシンでも聴くか」というノリで聴きに行ったらシューベルトにノックアウトされました。
あの時アンコールで弾いた即興曲op.90-3(D 899/3)がプログラムに入っているので、「あの感動よ、もう一度!」ととても楽しみにしていました。
彼の美しい音に浸るため、2階中央席最前列ど真ん中の席を取りました。
 |
座席からの眺め。ピアノの音がスーッと飛んできて、私にとってはここが最高の席です。 |
そして、想像通り、いえ想像以上に素晴らしかったんです、シューベルト!
op.90-3はもちろんのこと、Op.142-3(D 935/3)があんな美しい曲だったとは!
そしてop.90-4。
これって技術的にはそれほど難しくなくて、子供がよくピアノの発表会で弾きますよね。
私も大昔に弾いたことがあって、この曲のことはよく知っているつもりでいたけど、キーシンが弾くと「ああ、こんな深い曲だったんだ」と改めてこの曲の魅力を再発見しました。
いつもながらキーシンの楽曲への取り組み方、理解の深さに感動。
どんな曲もキーシンが弾くと新たな面が見えますね。
いやあ、それにしてもほんまによかったわ~、シューベルト。
天国に連れて行かれたような気分で、まさしく神憑った演奏でした。
客席からも盛大な拍手と歓声が飛んでいました。
シューベルトのあまりの素晴らしさに前半の記憶が飛んでしまいましたが一つだけ。
ベートーヴェンの第2楽章をキーシンは非常にゆっくりしたテンポで弾いたんです。
キーシン独特の「ため」がふんだんに盛り込まれたといえばいいでしょうか。
あのテンポで音楽の流れや緊張感が切れないのはさすがだと思いましたが、私個人の好みとしてはあのテンポはちょっと苦手です。
(あくまでド素人の私個人の感想です)
さて、感動のシューベルトに続いてリストのハンガリー狂詩曲第12番。
これは爆演でした!
一体今何が起こっているの? と頭の中が「?」だらけになる、よくまあピアノからこれだけいろいろな音が出せるものだと驚くような迫力と華やかさに満ちた演奏。
先程のシューベルトには神が降臨したと思ったけれど、これはリスト様ご本人が降臨したかのような演奏でした。
会場総立ちの中、ステージに登場したキーシンはアンコールにグルックのメロディを演奏。
これがまたシューベルトと同様、心の中の一番深いところにある悲しみや喜びを引き出すような演奏で、「キーちゃん、まだ若いのに(私と比べて、という意味です)どんな人生歩んできたん?」と問い質したくなりました。
スタンディングオヴェイションとブラーヴォの嵐の中、続いてリストの超絶技巧練習曲第10番 f-moll。
いや~、これもすごい爆演、すごい迫力でした。
素晴らしい演奏を聴かせてくれてありがとう。天国を垣間見せてくれてありがとう。
そういった思いを込めて拍手をしていたら、キーシンがステージに出てきてお辞儀をしてからちょこんと椅子に座るではありませんか。
「え? まだ弾いてくれるの?」とどよめく客席をよそに弾き始めたのはシューベルト(リスト編曲)の「ます」。
これがもう~、なんとも可愛らしくもお茶目な「ます」で、リストの爆演に興奮しきった我々聴衆にとっては清涼剤のような演奏でした。
この日の演奏を聴いてふっと思い出したのですが、私が10代の頃、ある音楽評論家が「演奏家は40歳になってから真価を発揮する」と発言しました。
(確か野村光一さんだったと思うのですが・・・ちょっと自信がありません)
それを読んだ時は、ちょうどその頃大人気だったハンガリー三羽烏やツィメルマンと、それに群がりアイドル扱いする若い女性ファンを批判した発言だと思ったのですが、今この歳になってわかります。
人間、40年位生きないと酸いも甘いも噛み分けられません。
40歳を越えると、若い頃とは一味も二味も違った物の見方が出来るようになるし、演奏にも反映されるのだと思います。
今回のプログラムの最後の曲とアンコールはキーシンが10代の頃からよく演奏していた曲ですが、今の年齢でこそ出せる味わいがありました。
 |
楽友協会 |
それにしても(何度も書きますが)素晴らしいシューベルトでした。
次は9月にブダペストでキーシンを聴く予定ですが、プログラムにはシューベルトのソナタが含まれているので楽しみです。
ああ、書きたいことはたくさんあるのに、感動しすぎて言葉で表せません。
なんだか取り留めのない文章ですみません。
(後で追加訂正するかもしれません)