第5回ブダペスト国際ショパンフェスティヴァル&ピアノコンクールのオープニングコンサートにニコライ君ことニコライ・ホジャイノフが招聘されました。
június 17.-én vasárnap Színház Terem, 17 óra
Nikolay Khozyainov
Műsor:
Haydn D-dúr szonáta Hob XVI 33
Rachmaninov Etude-Tableau esz-moll op.33
Scriabin Etude op.42-5
Prokofjev Szonáta no.7
Chopin Ballada F dúr op.38
Schubert Wanderer Fantasy
Liszt Transcendental Etude „Feux Follets”
Liszt Mephisto keringő
会場はブダペスト16区の公民館。
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郊外の公園の中にある公民館 |
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会場入口 |
我が家からはものすごく遠いし、演奏会用の会場じゃないから音響はイマイチだし、全席500席ぐらいのとても小さなホールで、ピアノもフルコンじゃなくて小さいし。
う~ん・・・。
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会場内部 |
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小さなべーゼンドルファー。(休憩時間に調律中) |
プログラム最初の曲はベートーヴェンop.110のはずが、会場で変更が発表されました。
ニコライ君がベーゼンでハイドンを弾く♪
ピアノが小さいし、あまり響かない会場ですが、それでもとても魅力的で可愛らしい演奏でした。
続くロシアもの3曲は一転して暗くおどろおどろした感じ。
私はベーゼンの低音が大好きなのですが、プロコのソナタ、特に最終楽章なんてすごい迫力でした。
ベーゼンいいなあ♪ (私はスタよりベーゼン派です。でも一番好きなのはベヒシュタイン)
後半はショパンのバラードF-dur。
2010年秋にショパンコンクールを聴きに行ったことを思い出します、懐かしいなあ。
あの時のニコライ君は18歳 、線が細くてどこか頼りなげで、同行した友人は「彼のピアノは素晴らしいけど、今入賞したらつぶされるかもしれないから本選に進まない方がいい」とまで言ったほど。
(「大丈夫よ、ツィメルマンだって18歳で優勝したじゃない」と私が言うと「え?あの時ツィメルマン18歳だった? とてもそうは見えなかったわ」と、当時いかに大物ぶりを発揮していたかを話してくれました)
あれから2年弱。舞台マナーは堂々たるもので 、演奏のスケールも大きくなったようです。
シューベルトの「さすらい人」、これ私も昔弾いたことがあるんですけど、やたら長くて退屈じゃないですか、この曲?
結局長さに負けて仕上げられませんでした。(恥)
でもニコライ君の演奏を聴いて、ああ、シューベルトってこういう風に歌わせるのねえ、と感心しきり。
会場からは一段と大きな拍手でした。
最後のリスト2曲は圧巻でした。
リストって弾き手を選ぶと思うんです。
ただ指が回るだけではダメで、高度な技術の先にあるものを表現しないといけません。
表現力と超絶技巧を兼ね備えたピアニストだけがリストを弾きこなすことが出来ます。
その点、ニコライ君は合格ですね。
アンコールはリストの「
”フィガロの結婚”とドン・ジョヴァンニ”のテーマによる幻想曲」。
あの小さなベーゼンがどうしてここまで鳴るの? と驚くばかりです。
このリサイタルは、先にも書きましたようにショパンフェスティヴァル&コンクールのオープニングコンサートで、客席はコンクール審査員と出場者で埋め尽くされていたのですが、聴衆は「Bravo!」を連発していました。
さて、演奏会終了後ロビーに出たらロビーの隅っこでボーっと立っているニコライ君発見。
思わず駆け寄って「素晴らしい演奏でした。ダブリンコンクール優勝おめでとう!」と声を掛けたら「どうもありがとう」とはにかむような笑顔で答えてくれました。
うわぁ、すれてないなあ、ええ子や。
これからも応援するよ! 次はMupaかリスト音楽院大ホールで弾いてや! と言おうと思ったら「あなたは日本の方ですね?」と聞かれました。
「はい、そうです」と答えると「
*日本のジャーナリストからあなたのことは聞いていますよ。今日は聴きに来てくれてどうもありがとう」と言うではありませんか!
「え???」と頭の中が「?」でいっぱいになってあたふたする私。
さっきまではにかんでいたはずのニコライ君、一瞬にして不敵な笑みを浮かべているではありませんか。
ああ、この子は天使と悪魔が同居してると常々思っていたけど、天使が悪魔に変身する瞬間をこの目で見てしまいました!(笑)
* 日本のジャーナリスト云々の話は、ツィッター仲間の音楽ライターの方が、私がブダペスト公演を聴きに行くことをニコライ君に伝えたからで、謎は解けたけど、ほんまにびっくりしたわ~!
で、もしかして私がわざわざ日本からこの演奏会のためにブダペストに来たと勘違いして感謝してくれているとしたら申し訳ないので、ブダペストに住んでいることを伝えると「ブダペストに住んでるの? 日本人なのに? ブダペストに住んでるんだ~」と何度も言っていました。
デジャヴ。
以前キーシンに「ブダペストに来て下さい」と直訴した時も「ブダペストに住んでるの? 日本人なのにブダペスト? へえ~」と何度も言われました。
ロシア人にとって「ブダペスト在住日本人」は何かツボを刺激する存在なのでしょうか?(笑)